経営学科4年 佐々木 翔
2020.01.31

日本・中国青年親善交流事業に参加して ~交流を通して学んだこと~

経営学科4年 佐々木 翔さん

千葉県立柏井高等学校 出身

今回は、2019年度 日本・中国青年親善交流事業に参加した経営学科4年の佐々木 翔さんのレポートをお送りします。日本・中国青年親善交流事業は、日中の青年が交流を通じて友好と相互理解を深め、国際社会でリーダーシップを発揮できるよう育成することを目的に実施されています。出発前後の研修で9日間、中国で12日間活動します。

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この事業は私にとって社会について考える機会をもたらしてくれた。日常ではなかなか触れにくい、起業や経済、環境問題などについて見つめ直すことができ、一個人としてではなく今後社会に出ていく身として今後どう社会に貢献していくべきか、強く意識するきっかけをもたらしてくれた。

中国国民の強い向上心に支えられる中国経済のパワー

まず印象深かった体験として中国青年との意見交換を挙げたい。自身が団の活動として意見交換係を担当していたということもあり、中国派遣が始まる前から意見交換に注目していた。私のグループは、「青年の就業・起業」をテーマに日本や中国の現状について語り合った。
中国では起業支援への取り組みは日本よりも進んでおり、政府が「大衆による創業、万人による創新(イノベーション)」の「双創」を推進し、インキュベーション施設が各地で造られ、起業を目指す青年も多く存在するなど起業への意識が高く感じられた。それに加え中国では、就職において学歴や能力が重視されるため、大学卒業後に大学院進学を目指すことや、公務員就職に向けて数年勉強することが当たり前になっているということも知った。日本よりも苛烈に見える実力・能力重視な競争社会は、発展していく中国経済のパワーとより豊かな生活を求める国民の強い向上心を感じさせるものであった。
一方で、中国では大学卒業後に日本と同じく企業への就職活動を意識する学生も多く、安定職と思われている公務員も根強い人気があることも印象深かった。こういった話し合いでは差異ばかりに目が行ってしまうことが多いが、共通点も多くあり、国や文化は違えど人間は近い考えを持つということを教えてくれた。

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日本の学生が見習うべき中国人のキャリア意識

この意見交換を通して、お互いの国における青年の就業・起業についてだけでなく、青年を取り巻く社会の情勢への理解を深めることができ、とても有意義な時間となった。日本と中国を比べると、中国の就職活動は日本の就活生とは違った価値観であったり、社会で求められる能力が違っていたりしていた。しかし、日本と同じく新卒採用中心であり、大手企業への就職を目指す思考「高給や名誉を重視し、両親が子どもをステータスがある大企業や有名IT企業に就職させたがること」など似かよっている部分もあり興味深かった。
中国の経済状況はまるで高度経済成長期の日本の様な状況だが、学生は無謀な起業や何となくの就業ではなく、必死に勉強し自身のキャリアをしっかり見つめていた。そういった、卒業後のキャリア意識を日本の学生はもっと見習うべきだと感じ、強く印象に残った。

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s北京語言大学 青年の就業起業①

1泊2日のホームステイで感じた中国文化

次に印象深かった体験としてホームステイを挙げたい。私たちの滞在した鄭州という街は、中国で最も長い歴史がある街の一つである。ホームステイでは少林寺や古都の一つである開封に向かい中国の伝統や歴史を学んだ。しかし、そんな街でも近代化した中国の経済力を感じる部分が多くあった。例えば、到着した駅周辺は高層ビル群が立ち並び、高速道路や街路樹までもが煌びやかに光り輝いており、誰が見ても勢いを感じさせるものであった。ホームステイ先では、ホストファミリーの他に運転手や通訳がつき、飲食もほとんどが高級店の一室であるなど至れり尽くせりであった。もちろんホームステイ中ということもあり、気を遣って貰った部分も大いにあるかとは思うが、中国の勢いとゲストを最大限もてなす中国文化を、身をもって体験することができ強く印象に残った。
気遣いとしては他にも、飲食に対して積極的なサービスが多く、食べ物や飲み物が必ず食べきれないほど豊富に提供されていることやホームステイファミリーがスイカの種を取ってから食卓に上げてくれることなども強く印象に残っている。しかし、意外なことにそれだけゲストに対して積極的なサービスをする文化があるにも関わらず、飲食店でのサービスは高級店でも優れているとは言えない。例えば、店員同士で私語をしながら怠そうに配膳をしていたり、料理の手配ミスが多発したりと企業としてのサービス意識は高くなかった。食文化に対しては世界的に注目されつつあるフードロス問題もあり、今後中国がどう問題に向き合っていくのか注目していきたい。
国が違えば、文化や常識は違う、普段当たり前に受けていた日本のサービスがいかに優れているのか、いかに自分が恵まれた生活をしていたのかを考えさせられた。1泊2日と短期間のホームステイ中国文化を最大限に感じることができ、大変有意義な体験であった。

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変わりゆく中国の規範

最後に、体験ではないが強く印象に残った中国の環境意識について述べていきたい。中国は日本でも報道される通り、黄砂や工場の排出物で一面スモッグだ。その状態を中国政府も問題に感じているようで、砂埃が飛ばないように車で水を撒いたり、町や荒野への植林活動を積極的に行ったりしている。まだまだ環境活動への取り組みは発展段階ではあるが、大規模な環境活動への取り組みは、今後より加速していくように感じる。今までは生活の質より経済発展優先で「質より量」のチープなイメージを中国に抱き、色眼鏡で見ていた部分があった。しかし、密に交流をすることで今までのイメージが取り払われ、今、中国は量から質へと変わる転換期に来ており、人々は物質的な充足感より精神的な充足感を求めるように変わってきていると感じた。実際、生活の話を聞くと、よくわからない店では買い物をせず、確実なものが手に入るネット通販で、安くなくても良い買い物をするのが当たり前と話してくれた。実際に訪問し、会って会話をしてみないと分からないことも多いと痛感した。
経済優先の考えも変わり始め道徳的な規範が求められるような社会に中国は変わっていくだろう。それを踏まえ、私たち日本人は今後中国と付き合っていくことが重要であると感じた。

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今回の学びを伝え、次に挑戦する学生に繋げたい

この事業を通して、様々なことを学んだ。中でも、ディスカッションやホームステイを通じて、深く中国の文化や考え方を学び、様々な訪問を通して、社会問題について意識した。今まで中国と関わりがなかったからこそ、ニュートラルな目線で中国の文化を客観的に見ることができた。実際に中国では、現地でお互いが初めて交流しあうことで文化や社会制度、常識の違う部分をたくさん吸収することができた。
今後は今回の学びを伝え、次に繋げる活動をしていきたい。学生の身分でできることはそんなに多くないが、若い学生だからこそできることもあると思う。若者だからこそ感受性が高い若者に対し、ピンポイントに届く情報発信ができ、その情報が広がっていくことでもっと良い未来にすることができると思っている。
活動は一回やって終わりではなく、継続していくことが大切だと思う。そうしなければ、そこで得た学びはそこで完結してしまい、受け継がれずに失われてしまう。始めは家族や友人、所属団体など身近な所へ自分が現地で感じたり学んだりしたことを発信し、ゆくゆくは多くの人に情報発信したい。
だからこそ、実際に私は大学のゼミの時間で発表し、また、課外活動としてサークルで活動の魅力や学びを伝える活動をした。今回得られた体験を自分次第で無限の可能性に昇華できると思う。そのためにもまずは、情報発信や国際交流など自分ができることを継続して行っていきたいと思う。そうやって、今回の経験を活かすことで、継続する繋がりを作り、自分が変わったように世界に目を向ける青年を増やしていきたい。

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