キラリ☆経済学科教員vol.5
2017.06.12

キラリ☆経済学科教員vol.5

経済学部 経済学科 八木直人准教授

1.先生のご専門の分野について

専門分野:マクロ経済学
主に景気循環のメカニズムについて研究しています。これまでは在庫調整のような取引の仕組みが景気循環に与える影響を研究してきました。近年、最先端の研究者たちの間で、新しいネットワーク科学などの成果を経済学の分野に応用した研究が注目されており、最近は特にその分野に関心を持っています。例えば、皆さんご存知のGoogleは、個々のWebの重要度を評価して検索ランキングをページに表示していますが、ランキングの評価にはWebページ相互のリンクによるネットワークのつながりを解析する「ページランク(PageRank)」という理論が使われています。この理論はGoogleの創業者たち自身によって1998年に論文として発表されたものなのですが、こうしたネットワーク理論の新しい解析手法を経済学の分野に応用すると、例えば企業間取引ネットワークの中での個々の企業の重要度などを分析したりすることができるようになってきました。こうした手法をマクロ経済の景気循環の理論に応用することで、これまでよくわからなかった実物的な景気循環のメカニズムを明らかにできるのではないかと思っています。

担当している講義:「経済理論」「マクロ経済学」です。その他に1年の基礎演習、2年の専門導入演習も担当しています。
「マクロ経済学」
ミクロ経済学と共に経済分析の基礎となる科目です。一言でいうと、マクロ経済学とは「貨幣の価値」が経済全体の活動に与える影響について学ぶ科目です。例えば100円のリンゴが200円になったら、普通は「リンゴの価格が倍になった」といいますね。しかし、これを貨幣の側からみると「100円で買える量が半分になった」ということもできます。商品の価格上昇を貨幣の側からみると、同じ貨幣量で買える商品の量が少なくなること=貨幣の買う力(貨幣の購買力)の低下を意味しているのです。個々の商品の価格変動はマクロ経済全体に影響を及ぼしません。しかし商品全体の平均価格=「物価」が変動すると、商品全体に対する貨幣価値が変動していることになり、経済全体に影響を及ぼすのです。安倍政権は発足時に、この物価上昇率=貨幣価値の下落率を年率2%にすることを目標としました。貨幣価値は現実のマクロ経済政策の中心課題でもあります。
マクロ経済学において重要な貨幣価値は3つあります。
1つ目は、「商品」に対しての相対的価値=「物価」
2つ目は、他の金融資産に対しての相対的価値=「利子率」
3つ目は、他の国の貨幣に対しての相対的価値=「為替レート」
この3つの貨幣価値の変動がどのように経済全体に影響を及ぼすのか、その仕組みを学ぶ学問です。この内容は、日常生活の感覚では身に付きません。日常の感覚とは異なった視点から経済全体の仕組みをとらえることで、経済現象の本質が見えてくる、ということを学んでほしいと思います。

2.敬愛大学の学生に期待することは何ですか?

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よく「大学時代は時間がたっぷりあるから何でもできる」と言われます。しかし、実際に大学生活を過ごすと、あっという間に過ぎてしまいます。あれもやってみたい・これもやってみたいと思って手を広げていくと、どれも中途半端で終わってしまうこともあります。何でもよいので、ぜひ一つの事に集中して打ち込んでください。そして「これまでこんなに打ち込んだことはなかったな」「自分はここまで深く取り組めるんだな」という自信を身につける4年間にしてください。その身につけた自信が、社会に出てからの皆さんを助けてくれると思います。もちろん、その「打ち込んだこと」が大学の勉強であることが、私の一番の望みです。

3.大学時代のこと、経済学に興味を持ったきっかけを教えてください。

子供のころから、世界の謎が解き明かされるというような内容の小説やマンガが好きでした。一方、学校の勉強の方は、それがどう世界とつながっているのか今一つわからずあまり楽しいと思えませんでした。しかし大学に入って講義を聴いたりいろいろな分野の本を読むようになると、さまざまな分野の専門家が、まるで「現実の世界」を相手にして真剣に「世界の謎解き」をしているように感じました。大学には、自分の知らなかった世界の謎解きのカギがたくさん落ちているように感じたのです。
経済学部だったので経済学の本を読む機会が増えるうちに、経済学の「世界の謎解き」の仕方が一番面白そうだと思うようになり、もっと続けたくて大学院に進学しました。ですから、まじめに勉強をしたというよりも、まるで小説やマンガを読むように、経済学を通じて世界の謎を覗いてみるのが楽しくて、ハマっていったという感じです。
勉強というと、生真面目でつまらないものだと思っている人が多いかもしれません。でも「現実の世界」を相手に真剣な謎解きをすることほど、楽しくてワクワクすることはありません。講義もそんな気持ちで聴いてもらえたら嬉しいなと思います。
もう1つは、いろいろな人との出会いです。経済学部に在籍していましたが、所属していた美術サークルに工学部の先輩達がいて、よく研究の手伝いをして(させられて?)いました。夕方から美術サークルで絵を描いて、夕食を食べた後、夜静まった時間に実験をするのですが、まるで絵を描いていたときと同じような感覚で、工夫と失敗を楽しみながら研究に向き合っているのを見て、自分もやってみたいと思った記憶があります。
また修士課程指導教授の先生は、研究をとても楽しんでやられる方で、大きな影響を受けました。新しい論文を見つけると、まるで新作小説を紹介するような調子で「これ面白かったよ、読んでみたら」と紹介してくれました。何度も夜遅くまで付き合ってくれて一緒に論文を読みました。自分の論文を書くために何度も徹夜したりしましたが、それが楽しかったのを覚えています。
もちろん勉強すること自体は時間がかかりますし、大変なことも苦しいことも多いのですが、基本的に楽しいことなのだということを教えてもらった気がします。