「日本の絵本の歩み」~ゼミでの展示会見学を振り返って~
2017.12.04

「日本の絵本の歩み」~ゼミでの展示会見学を振り返って~

山口ゼミでの活動報告 こども教育学科S.Mさんからの報告

こども教育学科3年の山口ゼミでは、「読書指導」をテーマに学んでいます。11月21日(木)に東京都台東区上野にある、「国際こども図書館」で開かれている『日本の絵本の歩み-絵巻物から現代の絵本まで』という展示会を見学してきました。この様子は「国際学部だより」にて紹介していますが、ここでは山口ゼミの学生、S.Mさんからのレポートを紹介します。

展示会「日本の絵本の歩み」

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11月21日に、国立国会図書館 国際子ども図書館で行われている展示会「日本の絵本の歩み」に行き、ガイドツアーを通して絵本の歴史を学びました。絵本は幼いころから親や先生から読んでもらっていたので、とても親しみのあるものです。いま改めて絵本を手に取ると、昔読んでいた懐かしさを感じたり、見方や考え方が変わったりします。そこで、昔からあるこういった絵本はいつから誕生し、広まっていったのか、日本の絵本の歴史について感じたこと、わかったことをまとめてみました。

絵本の起源と日本の歴史との結びつきについて

日本の絵入り本の起源は8世紀、奈良時代の絵巻が最古とされているそうです。それ以降、絵巻物として平安・鎌倉・室町へと続く伝統形式になっていることを知りました。絵本の起源作品として「絵因果経」が記されています。※巻子(かんす)に描いてあること、文字と絵の組み合わせとなっていることが、絵本の原形であることを物語っています。このように絵本は1300年も前から存在し始め、その起源は絵巻物であったことから、日本の歴史との結びつきを感じました。
※巻子 書物装丁のいちばん古い形。書写または印刷した紙を横に長くつないで、末端に軸をつけて巻いたもの。

当時の子どもに絵本を広げた原点について

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室町時代の末に巻子の形から冊子の形になった奈良絵本が誕生します。絵巻物は形の持つ不便さから、より扱いやすい冊子に移行し始めたそうです。江戸時代に入ると一枚の版木に文字や絵を彫って印刷された本が普及し、室町時代にはじまった御伽草子(おとぎそうし)とよばれる短編の小説に絵をつけた本が普及するようになっていきます。子どもに広がりを見せたのは17世紀の半ばころからだそうです。そのきっかけとなる作品が、草双紙(くさぞうし)の先駆けの「赤小本」というものです。草双紙とは、江戸時代、庶民に読まれた絵を主とする本で、表紙の色から、赤本や黒本・青本・黄表紙・合巻などの種類があり、その総称が草双紙です。中でも「赤小本」は大人が子どもと一緒に音読をすることが多かったと言われています。これらの絵本の中身は、現代絵本や漫画にも通じるような絵とテキストの見せ方の工夫が随所に見られ、絵がとても大切な要素であったことがわかりました。

現代絵本へのつながりについて

1945年8月15日、日本は終戦をむかえます。「忠君愛国」を国民道徳とする教育内容は、個人を尊重する教育へと変わり、子供の本の世界も一転していきます。1960~70年に入ると「絵本ブーム」が到来し、現在では600万部を超える絵本が存在するようになりました。さらに2011年に起きた東日本大震災を機に、作家たちが絵本のあり方を問い直すことへとつながっていきます。「戦争と平和」「生と死」「心」「絆」等をキーワードに、「人間にとって大切なものは何なのか」といった切実なテーマが今日の絵本に問われてきていることがわかりました。

今回の見学を通して感じたこと

絵本は歴史の背景とともに時代ごとに沿った作品が存在すると知りました。また、絵本は作家が込めた願いや考えが詰まっているものであることもわかりました。将来教員になれた際には、絵本の歴史について学んだことを、読書県である千葉県の児童に話せる機会を持ち、読書の魅力を伝えていきたいと思いました。